赤の歴史 文化図鑑からヨーロッパの赤の歴史にふれてみる

2025年2月8日土曜日

赤色

t f B! P L

 スポンサーリンク


 



赤の歴史 文化図鑑(ミシェルパストュロー著)という本は赤色という視点で歴史を眺めた本でとっても重厚な内容になっている。よくこれだけ調べたな、とただただ感心する。


本記事は、赤の歴史 文化図鑑を要約するのではなく、私なりにへーそうなんだと勉強になった点を紹介します。



赤色は特別な色だった

現代は技術が進化し手軽に様々な色を作ることができまた選択することが出来ますよ。でも、はるか昔は色をつくりだすのはそれは大変だったと想像するのは難しくはないです。そもそもどうやったらどんな色ができるのかを知らないのだから当たり前。また色の原料となる植物や鉱物が外国にあるとなると、昔の流通事情のなかで誰もが簡単に手に入れられるはずはない。自ずと貴重な色鮮やかな色は権力者がまず使用するようになるのも自然なことでしょう。


さて、今ほど選択肢がなかったと思われるはるか昔において、それは石器時代までさかのぼってみるとラスコーの壁画のように壁画では赤色がとても印象が残る。また中世まで時を進めていても赤色というのは数ある色の中で中心にいた色だったそう。確かに王様とかすごい騎士のマントは赤色の印象があるよね。


ハゲイトウという赤色の葉っぱが印象的な植物は古代ローマではしおれることがないことから不死を象徴していたそうだ。


中世での赤色

中世ポーランドでは税として赤く彩色された布などがあったらしい。赤色というのは、裁判官の服がそうであるように第三者の代わりに権力を行使することを示すために赤色が使われることもあったそうだ。赤は権力の色であり、過ちの色であり、罪の色でもあった。アダムとイブをエデンの園から追い出した天使を描くさいに赤色が使われもしたそうだ。


中世では赤色は美しさと輝きの色であり神の色でもあった。広範な象徴性を帯びてあらゆる種類の愛をも表していた。また売春の色でもあった。


ラファエロ「ユリウス2世の肖像」
引用:
https://artflow-jp.com/raphael/


ラファエロやティチィーアは偉大な赤の画家として紹介されている。おーそうなのかと中世頃に描かれた絵画をネットで調べてみてみると赤色が印象的に使用されている絵がたくさんあることに気づきました。一枚の絵だけど色々考えられているんですね。



17世紀になると赤色はプロテスタントの宗教改革によって破廉恥な色とされるようになり、16~18世紀にかけて赤色は日常生活の晴れ舞台、例えば結婚式、からも目にする機会は減っていったそうだ。


もっとも17世紀くらいになると色を作り出す技術は進歩し、現代ほどではないにせよ多様な色が貴族や市民においてすらどんどん身近になっていただろう。


近代での赤色

近代になると政治的な色になる。フランスやドイツアメリカでの様々な革命のなかで赤色の旗が掲げられた。民衆の貧困の象徴と過去との断絶の印として。19世紀になり産業化されたヨーロッパでは労働運動や政党の、社会党の識別標となった。ソ連の国旗が真っ赤なのはそういった背景がある。ソ連が解体され共産主義というイデオロギーが弱体化するまでは赤い色と左派の政治との関係は150年以上続いたそうです。


国旗はどうでしょう。国旗の研究は十分でないそうだが国連加盟国で2016年時点で独立国とみなされる202の国の国旗で赤は77%で使われていて以下白の58%と続くので、いかに赤色がよく使われているかってのが分かります。


★合わせて読みたい★



赤ずきんちゃんはなぜ赤なのか



なぜ赤ずきんちゃんは赤色だったのか。改めて問われるとなんでなのでしょう。私たちに身近なグリム童話では1812年版が有名のようだが伝承はもっと昔からあり1000年頃には文字化されているものが残っているのだそう。この歴史が古い物語の解釈として、説はいくつかあって子どもに赤い物を着せるのは昔からの習わしだという説、色の三福対が隠れており頭巾の赤、オオカミの黒、バターの入った坪の白という説などがあるそうで、定説があるとまでは触れられていない。


本書を読んでいると1000年くらいだとまだまだ赤色はたくさんの色の中でもスター級の扱いを受けていて特別な意味があったように思われるので、主人公の少女はなんとなく赤色のずきんをかぶっているのではなく、赤色にこめられた意味があるだろうと考えたくなるのもよく分かる。



まとめ

赤の歴史 文化図鑑とはすごい本だと感心します。色がどういう役割をもち各時代で使われてきたのかを調べたもので、赤色は様々な意味をもってきたそうだが、庶民の私にとっての赤色の位置づけは、禁止やエラーの色といった印象が強い。あとは企業のコーポレートカラーというところだろうか。最新のものだとトランプ大統領の色という印象も残っている。


これから赤色はどんな役割を与えられていくのだろうか。








 スポンサーリンク


QooQ